浜松医科大学医学部附属病院

本院について

University Hospital Introduction

ホーム > 病院トップページ > 本院について > 本院の特色 > 最新医療の提供 > ロボット支援手術(上部消化管外科)

ロボット支援手術(上部消化管外科)

 私たちは、患者さんへのより良い治療を提供するとともに、最良の治療法を開発するための研究を進めています。その一環としてロボット支援手術にも積極的に取り組んでおり、従来の開腹手術や腹腔鏡手術と比べて患者さんにとってより安全かどうか、より優れているかどうかについて詳しく調べる臨床試験などを行ってきました。
 上部消化管外科では2015年10月よりロボット支援胃がん手術を開始、全国15施設で実施していた多施設共同試験にも参加し、先進医療制度のもとでロボット支援胃がん手術を施行してきました。2018年からは同手術が保険適用となったため、保険診療によるロボット支援胃がん手術を行っています。また、ロボット支援食道がん手術についても本院倫理委員会の承認を得て、2018年10月より導入し、2019年5月からは保険診療による手術を行っています。

 以下に術式別にその概要を紹介させていただきます。

 

ロボット支援胃がん手術

 ロボット支援胃がん手術の手術時間は4~6時間で、実際にロボットを操作している時間は3~5時間です。標準的な入院期間は約2週間です。従来の腹腔鏡手術と同様に、開腹手術による胃がん手術に比べて出血量が少なく低侵襲に手術が行えるという利点があります。また、腹腔鏡手術と比較して、手術部位関連合併症(膵炎や膵液瘻など)が軽減される可能性が報告されています。当科も参加した先進医療B(多施設共同試験)では、ロボット胃がん手術の安全性、有効性、経済性について検討され、従来の腹腔鏡手術に比べて術後合併症が有意に減少することが報告されました。また、手術支援ロボットの特性から、胃全摘術や進行胃がん手術、他臓器合併切除を必要とする手術など、より難易度の高い手術において、ロボット支援手術の利点を享受できる可能性があるのではないかと考えられています。
 今後も、正確な病巣切除による根治性の向上と同時に、安全な操作による合併症発生率の軽減や術後QOLの改善を目指し、多くの患者さんにロボット支援胃がん手術を安心して受けていただけるように努めていきます。


ロボット支援胃手術(術部の様子)

ロボット支援胃手術(術部の様子)

ロボット支援食道がん手術

 当科では2018年10月に本院倫理委員会の承認の下、静岡県下で初めてロボット支援食道がん手術を導入しました。2019年5月からは保険診療による食道がんに対するロボット支援手術を実施しています。
 食道がんに対する外科治療は、胸腔鏡・腹腔鏡手術などの低侵襲化が進んできていますが、依然として患者さんにとって大きな侵襲が伴う治療です。ロボットによる食道がん手術では、従来の開胸手術や胸腔鏡手術に比較して低侵襲で、反回神経麻痺などの合併症が軽減する可能性も報告されています。当科では、胸腔鏡手術に比べてロボット手術で術後合併症発生の全体的な指数が減少しており、手術支援ロボットの使用によって術後合併症を抑えることができる可能性があることを報告しています。 
 今後も胃がん手術と同様に、根治性の向上、合併症の発生率軽減、術後QOLの改善を目指し、多くの患者さんにロボット支援食道がん手術を安心して受けていただけるように努めていきます。 
 胃がんおよび食道がんの治療の一つであるロボット支援手術については、術式の利点とともに、いくつかの留意点等もあります。これらの診療についての詳細は、かかりつけ医へご相談のうえ、当科へお問い合わせをお願いいたします。(本院は外来受診予約制を導入しております。)