浜松医科大学医学部附属病院

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ロボット支援下手術(上部消化管外科)

 私たちは、患者さんへの最良の治療を提供するとともに、より良い治療法を開発するための研究を進めております。その一環としてロボット支援手術にも積極的に取り組んでおり、従来の開腹手術や腹腔鏡手術と比べて患者さんにとってより安全かどうか、より優れているかどうかについて詳しく調べる臨床試験を行っています。

 上部消化管外科では2015年の10月よりロボット支援手術を開始しており、2017年8月の時点で22例の患者さんにロボット支援手術を施行させていただきました。当科は全国15施設で実施していた多施設共同試験にも参加し、先進医療制度のもとでロボット支援胃癌手術を施行しておりました。現在は、同臨床試験が終了したため、自由診療でロボット支援胃癌手術を行っております。また、ロボット支援食道癌手術についても既に本学倫理委員会承認を得ており、今後導入していく予定です。

 以下に術式別にその概要を紹介させていただきます。

ロボット支援胃癌手術

 2015年の10月に第1例目の手術を施行して以来、2017年8月の時点で当科での手術症例は22例です。ロボット支援胃癌術の手術時間は4~6時間で、実際にロボットを操作している時間は3~5時間です。標準的な入院期間は約2週間です。従来の腹腔鏡手術と同様に、開腹手術による胃癌手術に比べて出血量が少なく低侵襲に手術が行えるという利点があることはもちろん、腹腔鏡手術と比較して、手術部位関連合併症(膵炎や膵液瘻など)が軽減される可能性が報告されております。また、手術支援ロボットの特性から、胃全摘術や進行胃癌手術、他臓器合併切除を必要とする手術など、より難易度の高い手術において、ロボット支援手術の利点を享受できる可能性があるのではないかと考えられています。当科も参加した先進医療B(多施設共同試験)では、ロボット胃癌手術の安全性、有効性、経済性について検討しており、近い将来、この結果が公表される予定です。

 今後も、正確な病巣切除による根治性の向上と同時に、安全な操作による合併症発生率の軽減や術後QOLの改善を目指し、多くの患者さんにロボット支援胃癌手術を安心して受けていただけるように努めていきます。


ロボット支援胃手術(術部の様子)

ロボット支援胃手術(術部の様子)

ロボット支援食道手術

 当科では静岡県下では未実施のロボット支援食道癌手術の導入を準備しております。ロボット支援食道癌手術は保険未収載であり、本学の倫理委員会での承認の下、自由診療で手術治療を行います。当科では既に胃癌に対するロボット支援手術を安全に導入しており、その経験を活かして食道癌に対するロボット支援手術の安全な導入に努めてまいります。

 米国など海外ではロボット支援手術による食道癌手術は行われていますが、本邦ではまだロボットによる食道癌手術を実施している施設は多くはありません。従来の開胸手術や胸腔鏡手術に比較して反回神経麻痺などの合併症が軽減する可能性も報告されており、食道癌の手術ではよりロボット手術の利点が活きてくるのではないかと考えております。胃癌手術と同様、根治性の向上、合併症の発生率軽減、術後QOLの改善を目指していきます。