静岡リウマチネットワーク
 

『私とリウマチ、そして初めての治験』 〜ハッピーニュースキャンペーン〜

 私は浜松市北区三ヶ日町でみかんの小規模経営をしながらリウマチの治療を続けています。60歳まで会社勤めをし、土日なく義父母の世話をし、みかん畑の仕事をし、定年を迎えました。失業保険も終わり、みかん畑の仕事だけではひまをもてあまし、パートで働くこと1年。手首、ヒザ、肩、足等の痛みが出たので、仕事をやめました。腱鞘炎のような症状が出て洗濯バサミもつかめないようになり、近くの整形外科へ通い続けましたが手の甲まで腫れ上がってしまい、総合病院の整形外科に移り、痛み止めの注射を打つようになりました。CRPの数値が下がらず、浜松市内の総合内科を受診しシェーグレン症候群と診断されましたが、これといった治療はしませんでした。シェーグレン症候群とはリウマチの合併症です。
 整形での治療を続けているうちに関節リウマチと診断され、大変な病気をもらったものと思いました。まず手足の変形が頭をよぎりました。まさか自分がと思いつつ・・・。それからの私はリウマチに関する本、免疫に関する本、いろいろ買って読みました。リウマチとはどんな病気か、自分の病気を良く知る事、人に隠さず付き合う、体温を下げない、免疫を落とさない等々学ぶことが多々ありました。
 病院での治療を続けながら自分でも出来る事をしました。東洋医学を学んだり、いろいろな人と出会って遠赤外線の治療、ビワの葉の治療、お灸、針、また新聞等での広告を見ては良いものはすぐに取り寄せ、健康食品にもたくさんお金を使いました。そんな私に主治医の先生はあまり効果はないでしょうとおっしゃいましたが、とにかく痛みを早く治したい一心でした。注射をしてもらえば、一次的に痛みは楽になりました。指にはテーピング、手首にはサポーターをまきながら、家の事、畑の事、多くの仕事を続けました。もし私がリウマチと言っても、朝から晩まで働く私を見て周りの人は、「他の人と同じように働けるじゃない」と、思ったようでした。みかんの収穫時期には猫の手も借りたい忙しさで、無理は駄目だよと言われましたが、注射で痛みをごまかして働きました。みかん収穫の切り子さんには私はリウマチと言ってありましたが、働く私を見て、「本当に痛いの?どこが・・・。」とも言われ辛い日々でした。左手などもしびれ、みかんを持つ手がふるえても働きました。そんな時に先生から手術したらどうかとも言われましたが、もう少しもう少しと我慢しました。
 その数ヶ月後、静岡リウマチネットワークと出会いました。友達に誘われて浜松市で行われた市民公開講座へ行き、良きリウマチ専門医の先生との出会いました。大勢の参加者の皆様の歩き方や指の変形等を見て、自分は痛いながらもまだまだ軽症だと思いました。リウマチネットワークの中で今までの整形での治療の経過を先生方に質問し、聞いて頂きました。整形でもリウマチの事を良く知る先生、知らない先生がいる事を知りました。今まで何年か痛み止めの注射で治療を続けてきましたが、それでは骨が弱くなる事を知り、信頼して接してきた先生でしたので何か気持ちが複雑でした。
 さてこれから私はどうしたら良いの?リウマチネットワークで聞いた話と整形外科での治療について地元のお医者さんに相談しました。私は軽症のようだから、先生に治療して頂けたらとお願いしたのですが、まず専門医に行きなさいとリウマチネットワークの病院への紹介状を頂きました。痛み止めの注射はやめてもらい、薬は一種類増やし、様子をみることになりました。そうしたらCRPの値がだんだん下がってきました。2週間に1度注射、座薬等も不要となり、通院も今では2−3ヶ月に1度で良くなりました。
 でも前の整形外科の先生には4年もお世話になり、はじめは病院を替えるという事はとてもとても辛かったです。病院を替えて昨年のみかんの収穫が思ったより楽にできるようになり、今の所痛いながらも日々満足しています。湿布薬でかぶれる時もありますけど、何か自分の気持ちが楽になり、専門の先生に信頼していける自分がいました。
 そんな折、先生から治験の話がありました。私のように軽症な患者でも対象となる治験がある事を知りました。その薬はまだ日本では薬と承認されていない薬で、今の薬とは全く違う利き方でリウマチに効果があるということでした。先生から話を聞いたとき、俗に言うモルモットになるような気がしてとても不安でした。日本ではじめて薬を試される何人かの1人になるのですから。今回の治験は、効果を調べることよりも、血液中の細胞の変化を詳しく調べたりして安全に投与できるかどうか調べることが主な目的だと言われました。治験を受けることによって私だけでなく、多くのリウマチ患者の役に立つのです。幸い副作用も出ることなく無事終わりました。点滴を受けてからはしばらく検査が続きますが、私もこの治験薬に対して期待をしていますし、今は治験をやって良かったと思っております。皆さんももし機会がありましたら、協力してあげていただきたいと思います。
 これからは夫婦2人の生活で、あまり子供には世話をかけたくありません。今までの治療と足湯を続け、日常生活が維持できるようになりたいです。私は腱鞘炎のような症状からリウマチになり、早期発見、早期治療をしてもらったので、今こうして軽くていられると思います。本当に痛い時は靴もはけず、何足も何足も自分に合った靴を買いました。整形外科の先生には注射が切れると、「薬が切れた、薬が切れた」と言って困らせた私ですが、これからはリウマチに負けず、先生を頼りに笑顔で寛解を目指して頑張りたいと思います。
 多忙にも拘らず静岡リウマチネットワークを作って頂き、私も勉強させてもらい、良い先生にもめぐり会え、前向きに生きる事が出来ました事、本当にありがたく思っております。お礼申し上げます。周りにはリウマチを理解してもらえず、「まだ治らないの?」と言われてすごく辛い日々もありましたが、今は元気になりました。皆さんも明るく笑顔をたやさない様に、寛解を目指して頑張りましょう。

                         K.I

〒431-3192 静岡県浜松市東区半田山1-20-1
浜松医科大学第三内科内
TEL:053-435-1211(9:00〜16:30) FAX:053-435-1211(24時間)
e-mail:srn@hama-med.ac.jp
© Shizuoka rheumatism network. All rights reserved


プライバシーポリシー