静岡リウマチネットワーク
 

リウマチネットワーク構想の原点 浜松医科大学 第三内科 小川法良

静岡県出身であり、大学も浜松医大卒と順当に行けば県内のどこかの病院で診療に従事する可能性が大きかった私が、ひょんなことから静岡を離れ、石川県内灘町にある金沢医科大学に勤務することとなった。平成10年春の事である。生まれてこの方雪を見るのは初めて、卒後14年目にしてはじめて血液疾患の診療に取り組むなど戸惑うことが多かったが、少しずつ北陸の生活にも慣れてきた。そんな折、平成14年5月に所属する教室が金沢市において第8回国際シェーグレン症候群シンポジウムという国際学会を主催することになった。大変な苦労をしたが、貴重な経験であった。その時の実績が買われたためか、直後にアメリカ国立衛生研究所(NIH)がシェーグレン症候群に対する国際的な研究プロジェクトを遂行するチームを公募し、世界の5カ国からなる研究グループの一員として選出された。平成15年9月のことである。私は日本グループの事務的な作業を一手に引き受けることになり、想像を絶する苦境を経験した。朝から晩まで英語の文書と向き合い、電子メールをやり取りする毎日が続いた。幸いにもこのプロジェクトは現在も順調に進んでおり、嬉しいことである。異なる文化や言語を持つ5つの国が国境を越えてプロジェクトを遂行することの困難さと得られたデータの貴重さを身をもって体験した。このときの経験が静岡リウマチネットワーク構想の一つの原点になっていることは否めない。その後、平成18年4月に金沢医科大学より母校である浜松医大に赴任することになった。8年ぶりの静岡はすっかり変わっていて、まさに浦島太郎状態であった。赴任してすぐに気がついたことは、石川県と比べて静岡県、特に浜松市はリウマチ診療を専門とする医師が多いことだった。ところが診療を続けるうちに、豊富な人材が有効に機能していない実態を知ることになった。患者さんの何%かは専門医を求めて、首都圏、愛知県、関西圏などに流出していた。ここでピンと来たのである。現在のインフラを整備し、うまくネットワーク化することができれば、リウマチに悩む多くの患者さまに素晴らしい診療環境を提供できるのではないか!国際的なネットワーク構築は多大な労力と経済的な基盤を必要とするが、住み慣れた地で立ち上げることはそれほど難しいことではないのではないかと甘い気持ちもあった。そこで、赴任直後より構想を具現化するために県内のさまざまな場所で講演会などを通してこのシステムの重要性を訴えて来た。幸か不幸か私はこれまでの県内のリウマチ診療の歴史というものをよく知らない。悪く言えば無知蒙昧であり、よく言えばしがらみがないということである。幸い、県内で活躍しているリウマチ専門医の先生方からも協力が得られ、第一歩が踏み出せるところまで到達することができた。数年でしっかりした、そして地域に根付いた組織になればと思っている。皆様のご指導、ご鞭撻をお願いしたい。
(写真:ノーマン=タラール(左)との写真。1992年夏に撮影)


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